脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
特集 体位頭位から微小解剖まで
小脳橋角部, 第四脳室への外側後頭下ならびに正中後頭下アプローチと小脳延髄裂アプローチ
中冨 浩文金 太一齋藤 延人
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 27 巻 11 号 p. 835-844

詳細
抄録

 Lateral suboccipital approachは, 主に小脳橋角部 (CPA) 病変に対して用いられ, 三叉神経, 内耳孔, 下位脳神経, 椎骨動脈が術野の中心となる上部, 中部, 下部CPAへのアプローチに分けられる. Park bench positionとし, 頚部を前屈させて固定する. 頚部屈曲で静脈灌流が妨げられないこと, 皮膚切開と項筋の処置で顕微鏡の視軸が妨げられないことが重要である. 開頭範囲は, 十分外側まで行う. 下部, 中部CPAへのアプローチでは, petrosal fissureを開放し, 小脳半球の可動性を高める. 大槽から髄液を排除し, 小脳延髄槽のくも膜を順に外側に切開し, 下部, 中部CPAに到達する. 上部CPAへのアプローチでは, 迂回槽のくも膜を切開して髄液を排除し, 錐体静脈周囲のくも膜を十分に剝離すると三叉神経周囲の視野が確保できる.

 Midline suboccipital approachでは, prone positionとし, 小脳延髄裂 (cerebellomedullary fissure : CMF) を広く開放する小脳延髄裂アプローチを併用することで, 第四脳室病変, 脳幹背側病変に対応できる. CMFの外側では, 第四脳室外側陥凹から小脳片葉 (flocculus) 腹側の脈絡組織 (tela choroidae) を, 内側では小脳扁桃 (tonsil) と小脳虫部の尾側である小脳虫部垂 (uvula) 間を広く開放することで, 橋上部背側病変までの到達が可能となる.

 これらのアプローチを用いた腫瘍性病変の手術シミュレーションと術中写真を提示し, 適応, 頭位・体位, 皮膚切開, 筋層展開, 開頭, 顕微鏡下手術手技につき総括する.

著者関連情報
© 2018 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top