2018 年 27 巻 2 号 p. 111-121
癌治療の選択肢は多くなってきたが, 一方で転移性脊椎・脊髄腫瘍の手術については現在においても判断が難しい場合がまれではない. 脊椎脊髄の解剖学観点からは, 脊椎転移は硬膜外骨転移であり, 脊髄転移は主に髄内転移となる. 転移の解剖学的部位は異なるが, 両者ともに癌の遠隔臓器への転移であり, 日常生活動作 (ADL) および生活の質 (QOL) の深刻な悪化に直結し, 最終的な生命リスクへとつながる. 手術治療は治療選択肢のひとつであり, その第一の目的は麻痺および疼痛症状の緩和である. 手術適応および方法については, 集学的観点から慎重に判断することが重要である.