脳神経外科ジャーナル
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27 巻 , 2 号
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特集 悪性脳腫瘍治療の課題と展望
  • 大野 誠, 成田 善孝
    2018 年 27 巻 2 号 p. 82-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     グレード2・3神経膠腫はWHO2016分類ではIDH遺伝子変異と1p/19q共欠失の有無に基づいて分類されるようになった. グレード2・3神経膠腫は緩徐であるが直線的に増大し, 悪性転化をきたす. 早期手術および手術摘出率を上げることは生存期間延長に寄与する可能性があるが, 手術のみでの腫瘍制御には限界があることも留意する必要がある. グレード2・3神経膠腫に対する放射線治療は重要な役割をもつが, 治療から長期経過後の高次脳機能障害が問題である. 近年化学療法による生存期間延長効果が示され, 現在欧米および本邦において適切な化学療法を検討する臨床試験が進行中である. 今後は, 分子遺伝学的な解析が進み治療効果を予測するバイオマーカーの同定や新規治療の開発が行われ, 治療成績が改善することが期待される.

  • 沖田 典子
    2018 年 27 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     膠芽腫は中枢神経原発悪性脳腫瘍の中で最も頻度が高く, きわめて予後不良である. 膠芽腫の治療は, 手術による最大限の摘出に加え, 放射線治療, 化学療法による集学的治療が必要である. テモゾロミドの開発により, 生存期間の延長が得られたが, 依然として予後不良であり, 予後改善のために新たな治療法の開発や臨床試験の迅速化が求められている. 膠芽腫の特徴, 手術や化学療法, 膠芽腫に関わる社会的問題に関し, 現状の問題と今後の展望について概説した.

  • 市川 智継
    2018 年 27 巻 2 号 p. 99-110
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     中枢神経原発リンパ腫 (PCNSL) は, 近年高齢者を中心に発生が増加している. 現在, 大量methotrexate (MTX) 療法が治療の中心となっているが, 治療成績の向上を目指してさまざまな薬剤との併用レジメンが開発されている. しかし寛解導入率には差があるものの, 生存期間中央値は3~4年で頭打ちの状態である. 一方放射線治療は, 特に高齢者において神経毒性の問題が生じている. そこで, 生命予後と機能的予後を同時に改善する治療法の開発が求められており, 大量MTX療法後の造血幹細胞移植併用大量化学療法による地固めと, 全脳照射の廃止が候補として挙げられる. また, PCNSLの発生機序は解明されておらず, 分子生物学的解析に基づく病因・病態解明が, 新たな治療法の開発に結びつくことが期待される.

  • 髙見 俊宏, 内藤 堅太郎, 山縣 徹, 大畑 建治
    2018 年 27 巻 2 号 p. 111-121
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     癌治療の選択肢は多くなってきたが, 一方で転移性脊椎・脊髄腫瘍の手術については現在においても判断が難しい場合がまれではない. 脊椎脊髄の解剖学観点からは, 脊椎転移は硬膜外骨転移であり, 脊髄転移は主に髄内転移となる. 転移の解剖学的部位は異なるが, 両者ともに癌の遠隔臓器への転移であり, 日常生活動作 (ADL) および生活の質 (QOL) の深刻な悪化に直結し, 最終的な生命リスクへとつながる. 手術治療は治療選択肢のひとつであり, その第一の目的は麻痺および疼痛症状の緩和である. 手術適応および方法については, 集学的観点から慎重に判断することが重要である.

温故創新
原著
  • 本田 優, 前田 肇
    2018 年 27 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     脳神経外科ジャーナル2013年12月号に報告した当院の脳神経外科ホットラインの現状報告から約4年が経過した. 今回直近の過去3年間の当科疾患疑い患者556例のデータを基に, 患者背景の経時的変化・適合率の改善の有無などを前回報告と比較検討した.

     男性289例 (前回285例), 女性267例 (261例), 平均69歳 (65歳), 救急車搬送447例 (338例), 入院432例 (356例). 当科疾患は415例 (372例) で, やはり脳卒中 (248例 : 前回207例) が最多であった. 麻痺 (84.8% : 80.2%)・言語障害 (79.7% : 82.1%)・昏睡 (94.3% : 77.4%) の高い脳卒中適合率に比し, 頭痛 (21.7% : 23.6%)・めまい (32.1% : 12.1%)・失神 (14.3% : 11.1%) は低い適合率であった. 前回に比し, 患者年齢 (69歳 : 65歳), 当科的疾患割合 (74.6 : 68%), 脳卒中適合率 (57.2 : 49.9%), 救急車搬送率 (80.4% : 60.6%), 入院率 (77.7% : 65%) が有意に増加し, めまい疾患/高血圧性脳症/低血糖患者数が減少していた (70 : 41). 当科的疾患の適合率はこの数年で上昇しており, 類似疾患の除外で, さらなる適合率の向上が期待できる.

症例報告
  • 齋藤 紀彦, 平井 希, 青木 和哉, 高萩 周作, 八木橋 彰憲, 横内 幸, 小林 弘明, 松熊 晋, 古賀 絢乃, 藤田 聡, 岩間 ...
    2018 年 27 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー

     68歳男性, 右側頭葉皮質下出血にて発症し内視鏡下血腫除去術が施行された. 3カ月後, 同部位にリング状造影効果を示す腫瘍性病変が認められ, 開頭腫瘍摘出術が施行された. Epithelioid glioblastomaの診断で, 放射線・化学療法を開始するも14日後に両肺に多発結節状病変が出現, 治療開始後32日目に死亡した. 病理解剖の結果, 局所再発に加え, 両側肺, 心臓などに多発転移を認めた. 膠芽腫の頭蓋外転移の頻度は約0.5%と報告されており, 頭蓋外転移の発生機序として複数回の手術や治療による腫瘍の形質変化などが考えられている. 膠芽腫の頭蓋外転移はきわめて予後不良な経過をたどるため, より詳細な病態把握が求められる.

治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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