2018 年 27 巻 3 号 p. 192-200
開頭による脳動脈瘤治療の最大の利点は根治性の高さであるが, 手術にあたってわれわれは合併症回避のためにさまざまな工夫をしている. 手術は動脈瘤や周囲組織の可動性を高め, 動脈瘤を “見に行く” のではなく, “見えてくる” イメージで行う. 治療転帰を左右する主な因子は術中破裂と穿通枝梗塞なので, 非侵襲的MRIで術前に瘤壁の厚さや穿通枝動脈の走行を可視化し, 計画や実際の手術遂行に有用な情報とする. クリッピング不可能な前方循環の病変に対する血行再建法の選択には術前のバルーン閉塞テストのみでなく, 術中の脳表血流量と中大脳動脈圧測定が有用である. 一方, 後方循環の解離病変などに対する開頭手術の効果はいまだ不確実なことが多く, 今後は術中モニタリングやhybrid ORの使用のもと複合的に血行動態の評価を行いながら治療を行うことが必要である.