2019 年 28 巻 2 号 p. 84-89
草刈機による頭蓋・顔面損傷に内視鏡を用いた再建術が有効だった1例を報告する. 60歳男性. 草刈機操作中に転倒, 刈刃が左顔面を直撃し搬送された. 左前額から眼球・頬部に至る切創あり, CTでは左前頭骨から眼窩・頬骨の骨損傷に, 左前頭葉挫傷・気脳症を合併した. 脳神経外科・眼科・形成外科で緊急手術を実施. 切創直下の骨欠損部の上端に穿頭し, 眼窩までの幅3cmを開頭した. 硬膜損傷部より硬性鏡を挿入, 左前頭葉の血腫・骨片の除去, 前頭蓋底の損傷硬膜の剝離・切除・縫縮, 前頭洞粘膜の剝離と有茎の骨膜組織の充塡を行った. 経過は良好で, 内視鏡での観察により, 元の切創を用いた小術野から深部の硬膜・頭蓋底の処置が可能であった.