2019 年 28 巻 3 号 p. 127-133
近年の脳血管内治療の飛躍的な発展により, 脳動脈瘤治療は現在パラダイムシフトの最中にある. 治療法の選択やその成績は, 日本と欧米の間で, また国内の各施設間でもバラツキがあり, 統一した選択基準による治療戦略の重要性が指摘されている. 今回われわれは, 過去6年間に一貫した戦略で治療した1,977例の自験例を解析した. 経年的な直達術の減少は認められなかったが, 直達術治療群で高難度病変が占める割合が増加傾向にあった. 将来的には直達術は今後血管内治療が困難な症例, また血管内治療後再発症例に対するsalvage treatmentとしての役割を担っていく可能性が示唆され, 1人当たりの症例数が減少していく中, より高い技術レベルが要求される次世代の脳血管外科医の計画的な育成が急務と思われた.