2020 年 29 巻 7 号 p. 475-485
脳腫瘍外科医の関心は, 腫瘍本体の病理像とともにその切除断端の病理である. その意味で, 腫瘍と正常脳との境界 (brain tumor interface : BTI) の病理に精通することは, 手術戦略の策定, 摘出限界の把握, 術後補助療法の選択, 予後推定など, 臨床的な示唆に富む.
本稿では, まずBTIにおける正常脳の反応像を示し, その後, 代表的脳腫瘍のBTIの病理像を示した. 髄内腫瘍はその多寡はあるが, 腫瘍細胞の浸潤が認められる. 一方, 多くの髄外腫瘍は基本的に境界明瞭だが, 悪性髄膜腫では特異な浸潤パターンを示す.
術前画像や術中では捉えられないBTIの病理像を知ることは, maximum safe resectionの達成に多くの示唆を与えるものと思われる.