脳神経外科ジャーナル
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内頸動脈を介して頭蓋外に進展した髄膜腫の1治験例
本田 英一郎重森 稔杉田 保雄徳富 孝志弓削 龍雄倉本 進賢安陪 等思小島 和行
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1994 年 3 巻 6 号 p. 528-534

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抄録
内頸静脈を介して頭蓋外に進展した髄膜腫の1例を経験した.症例は38歳の男性で,頭痛のみを主訴とし,うっ血乳頭を伴っていた.画像上腫瘍は右後頭側頭部に主座を置き,テント,横静脈洞,S状静脈洞を経て,頭蓋外内頸静脈内をC4のレベルまで進展していた.手術は2期に分けて行われたが,頸静脈孔から頭蓋外に進展した腫瘍はtransjugular approachにて全摘出された.transjugular approachはretromastoid craniectomyとmastoidectomyを併せ施行することにより,蝸牛,迷路を温存できる利点がある.腫瘍組織は典型的なmeningothelial meningiomaであった.頭蓋外進展または頭蓋外で発生する髄膜腫は,頭蓋底の神経孔を介したり,骨破壊による直接進展,血行・リンパ行性転移,異所性に発生したものなど発現形式はさまざまであるが,内頸静脈を介する頭蓋外進展はきわめて珍しい経路であった.
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© 1994 日本脳神経外科コングレス

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