2021 年 30 巻 1 号 p. 4-10
髄膜腫は最も頻繁にみられる脳腫瘍であり, 一般的には症候性で3cm以上は手術治療がまず検討される. 手術治療においては術前画像検査でのfeeding center (FC) の同定, および術中早期での処理が肝要で, 術中出血量の減少に寄与し, 穿通枝や脳神経の剝離操作を容易にすることに貢献する. 近年細胞分子学的な研究は爆発的に進んでおり, 特にNF2, TRAF7, KLF4, AKT1, SMOなどの遺伝子異常と腫瘍の部位や病理型との関連も明らかになってきた. またDNAメチル化解析からの髄膜腫分類, さらにはトランスクリプトーム解析からの分類が従来のWHO分類よりも予後に密接に関連するといった報告も相次いでいる. 細胞分子学的研究に基づく化学療法の有効性の発表もみられるようになった.