2021 年 30 巻 1 号 p. 41-47
頭蓋咽頭腫はウィリス動脈輪の内側に発生し, 視交叉下面, 視床下部に癒着しているため, 手術摘出が最も難しい腫瘍の1つである. また症例は比較的少なく1施設での経験数は少ない. 部分摘出と放射線照射によってこの疾患が安全に治療できるようになったとする報告もあるが, 長期成績は十分とはいえまい. 一方経鼻内視鏡手術の発展により腫瘍切除度, 手術安全度が向上したとする報告もあるが一方で長期成績はまだわからない. また下垂体機能温存に関しては経鼻手術を用いても達成は困難な状況である. この疾患の治療は現在も非常に難しいことを十分に理解して患者個々の条件に応じた最適な治療を選択する必要がある.