2021 年 30 巻 12 号 p. 845-851
成人てんかんの診断と薬物治療にわが国の脳神経外科医が果たす役割は大きい. てんかんの原因は多彩だが, 近年は遺伝子異常と自己免疫機序に関心が寄せられている. 全般てんかんに限らず, 焦点てんかんにも遺伝的素因が同定されつつある. 脳炎症状の目立たない自己免疫性てんかんは, 適切に診断されない例も多い. 免疫療法でてんかんが消失することがあり, 疾患の認識が重要である. 新規抗てんかん薬が登場して年数が経ち, その有効性と安全性がリアルワールドエビデンスとして確立した. てんかん外科には低侵襲装置の導入が進んでおり, 適応拡大に期待が持たれている. てんかんの多彩な病因が明らかになるとともに, 治療選択肢も増えている.