脳神経外科ジャーナル
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症例報告
退形成性上衣腫に対する放射線治療41年後に膠芽腫と髄膜腫を併発した1例
高瀬 香奈三島 弘之綾部 純一渡辺 正英土屋 雄介丸山 拓実益子 悠立石 健祐田中 良英
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2021 年 30 巻 4 号 p. 305-311

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抄録

 放射線治療の晩期障害として放射線誘発性腫瘍があるが, 組織型の異なる放射線誘発性脳腫瘍が併発した症例の報告は稀少である. 症例は49歳男性. 8歳時に右前頭葉腫瘍の摘出術を受け, 当初星芽腫の診断で51Gy/37frの拡大局所照射を施行された. 照射後41年, 初発のてんかん発作で救急搬送され, 右前頭葉脳実質の不整形腫瘍と周辺の円蓋部に硬膜付着腫瘤を認めた. 両病変に対して摘出術を施行し, それぞれ膠芽腫, 髄膜腫と診断された. 再検討の結果, 初発腫瘍は退形成上衣腫と診断された. 小児期に放射線治療を受けた患者では長期間経過しても放射線誘発性腫瘍のリスクが存在するため, 長期にわたる慎重な経過観察が重要である.

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© 2021 日本脳神経外科コングレス
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