2021 年 30 巻 4 号 p. 313-319
78歳男性, 精神科入院中に左視床出血を発症し当科へ転科した. 転科後不明熱が続き, 脳出血発症14日目に上部消化管出血を併発し, 19日目に腹部膨満, 嘔吐後ショック状態となった. 腹部造影CTで非閉塞性腸管虚血 (NOMI) を疑い, 緊急開腹手術で壊死した小腸を切除し小腸の端々吻合を行った. 術中および病理所見よりNOMIと診断した. 手術後36日目に経口摂取可能となり, リハビリテーション病院へ転院した.
脳血管障害患者が, 腹痛, 腹部膨満などの腹部症状を呈した場合にはNOMIを鑑別疾患に入れる必要がある.