2021 年 30 巻 8 号 p. 590-597
脊髄腫瘍には硬膜外腫瘍, 硬膜内髄外腫瘍, 髄内腫瘍が含まれるが, そのすべてを合わせても全脳神経外科手術の0.5%を占めるにすぎない. 多くの脳神経外科医にとって, 1年間に1例経験するかしないかの頻度でしかない脊髄腫瘍手術であるが, その診断, 手術治療には脳神経外科学のエッセンスが詰まっている. 本稿では脊髄腫瘍治療における神経診断の重要性, 画像診断と鑑別診断, さらに手術治療の実際について概説する. 特に, 脊髄髄内腫瘍における最大限の腫瘍摘出と神経機能温存の両立を達成するための工夫, さらに, 悪性脊髄神経膠腫に対する新規治療方法の可能性について述べる.