2021 年 30 巻 9 号 p. 632-638
矢状層とは, fiber dissection studyを行うと側脳室三角部外側で認められる, 前後の方向に走る線維群で, さまざまな線維束が矢状方向に層をなして走行することからその名がある. 視放線・視床放線・前交連後枝・下前頭後頭束・下縦束・中縦束などの線維からなる. 矢状層は, 複数の重要な連合線維・交連線維群が集中する領域であり, 視覚情報・意味処理・音声言語および文字言語処理などさまざまな機能に関連すると推定される. 古くから知られる本解剖構造について, 最新の白質構造解析手法であるGQIトラクトグラフィーを用いて, その解剖を概観する.