2022 年 31 巻 10 号 p. 661-667
症例は76歳男性. 1年6カ月前に膀胱全摘術を施行され担当医により再発転移はないと説明を受けていた. 2カ月前より右下肢痛を自覚し, 2週間前より右足関節の運動障害が出現し腰部脊柱管狭窄症を疑われて当院受診となった. 腰椎MRIでは症状と一致した画像所見が得られなかったこと, かつ激烈な疼痛と急速進行性に出現した下垂足から悪性腫瘍の存在を疑った. 施行したPET-CTと骨盤内MRIで腰仙骨神経幹および神経叢に骨盤内悪性腫瘍を認め病巣診断に至った.
改めて病歴, 神経学的診察の意義および, 画像検査を実施する際での検査標的設定の重要性を学び, 非常に教訓的な症例と考えられたために報告した.