2022 年 31 巻 11 号 p. 720-724
近年脳静脈洞血栓症 (cerebral venous sinus thrombosis : CVST) の原因として, 遺伝性素因や外傷などに加え, 貧血がリスク因子となることが報告されている. また, これまでの報告は単一のリスク因子に関するものが多く, 複数のリスク因子の関連性については不明な点が多い. 今回経口避妊薬の内服中に大球性貧血を合併し, 脳皮質下出血で発症したCVSTを経験した. 本症例ではビタミンB12欠乏に関与した凝固異常が発症に関与したと思われ, 抗凝固療法に加え貧血治療を行いCVSTの改善を認めた. CVSTは複数のリスク因子を有する場合もあり, それぞれに対する検索と治療が必要であると考えられた.