脳神経外科ジャーナル
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特集 術野の向こうに何が見えるか:脳機能温存のための微小解剖
血管外科治療における微小脳血管解剖
―前交通動脈周囲のグローカル解剖―
堀内 哲吉
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 6 号 p. 378-383

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抄録

 前交通動脈瘤などにおける視床下部動脈温存は, 記憶障害などを回避するために重要である. 一般的に前交通動脈周囲より分岐する細動脈は, まとめて視床下部動脈と呼ばれていることが多い. この血管は複数本あり, 下垂体茎・視交叉・梁下回・視床下部などを栄養している. しかし, 実際に手術の際に重要な細動脈は脳弓などを栄養しているものである. この点から細動脈は, ①chiasmatic artery, ②hypothalamic artery, ③subcallosal arteryの3種類に分類するほうが優れている. 側副血行路が少なく最も重要であるsubcallosal arteryは, 脳梁吻部・前交連・帯状回前部・中隔野・脳弓柱へ両側性に血流を供給しており, 損傷により術後の性格変化や記憶障害の原因となる.

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© 2022 日本脳神経外科コングレス

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