2022 年 31 巻 6 号 p. 368-377
脳幹部海綿状血管腫手術における課題は, 脳幹内部で変形・変移した神経核走行, 神経伝導路走行の術前予測は可能か? 術中の神経核機能, 神経伝導路機能の可視化は可能か? の2点であると考えられる. これらの課題に対処するうえで, 術前3D computer graphicsを用いた手術シミュレーションと術中の神経機能持続モニタリングを合わせて運用し, 術後神経機能の悪化を防ぎつつ, 摘出率を向上させる努力を行ってきた. 術中神経機能をトレンドグラフとして可視化し, 悪化時には直前の手技を繰り返さないようにし, 回復時間を設けることで, 永久損傷を防ぎ得る. 代表症例を提示し, 外科手術のポイントを総括する.