2022 年 31 巻 7 号 p. 471-475
非出血性の解離性椎骨動脈瘤の自然歴は良好であるが, まれに破裂に至る症例があることも知られている. 今回, 後頚部痛で発症し, 経過観察中の短期間で増大をきたした非出血性の解離性椎骨動脈瘤を経験した. 解離部およびその近傍から穿通枝および前脊髄動脈の分岐が確認され, 治療介入に際し虚血性合併症が大きく危惧される症例であった. 母血管にフローダイバーターステント (flow diverter : FD) 留置を施行したところ, 虚血性合併症をきたすことなく経過し, 治療3カ月で解離性動脈瘤の閉塞が確認された. 急速に増大する解離性椎骨動脈瘤に対し, 穿通枝温存を可能とする治療としてFD留置は有効な選択肢の1つであると考えられた.