2022 年 31 巻 9 号 p. 579-585
もやもや病は東アジアに多い原因不明の頭蓋内動脈狭窄症で, 小児と若年成人の脳卒中の原因として重要である. 疾患感受性遺伝子RNF213の多型は発症年齢, 臨床的重症度, 血管病変進行との関連が知られており重要である. またRNF213遺伝子多型は血管外径狭小化, 壁菲薄化を特徴とするnegative remodelingとの関連も報告され, 病態解明が進んでいる. 外科治療においては虚血例に加えて出血例に対するバイパス術の効果が明らかとなり, もやもや病に対する手術適応は拡大傾向にある. 局所過灌流やwatershed shift現象など本疾患に特徴的な術後脳循環の診断と適切な術後管理による合併症回避が重要である.