2023 年 32 巻 10 号 p. 666-673
硬膜外髄膜腫は頭部膨隆を呈することが多いが, 今回頭部の巨大変形に至ったまれな症例を経験した. 症例は80歳男性, 頭頂部に無痛性の巨大腫瘤を認め, 左上下肢麻痺を呈していた. 頭部MRIで硬膜外腫瘤性病変と一部硬膜を貫通し脳実質を圧排する腫瘤を認めた. 脳血管造影で両側外頚系動脈を栄養血管とする腫瘍濃染像を認め, 髄膜腫と診断した. 二期的な摘出術を計画し, 術前から大量出血が予想されたため入念な対策を講じたが, 二度の術後出血を防ぐことができなかった. 塞栓術などにより腫瘍からの出血は制御可能であるが, 血流豊富な頭皮からの出血をいかに防ぐかが課題と思われた.