2023 年 32 巻 10 号 p. 674-679
小児閉塞性脳血管障害の原因として, 頻度はまれではあるが頭蓋内脳動脈解離が挙げられる. 本疾患に対する治療法の中心は内科治療であり, 手術適応に関して一定の見解は得られていない. 今回, 誘因なく片麻痺症状で発症した頭蓋内頚動脈解離による小児脳梗塞例を経験した. 最大限の内科治療を行うも神経症状が変動し, 発症2日目に増悪傾向となり, 血行力学的な脳虚血進行と診断された. 緊急で血行再建術 (STA-MCA bypass) を行い, 神経症状の改善および良好な転帰を得られた. 内科治療にもかかわらず, 血行力学的な要因によって増悪進行する小児頭蓋内頚動脈解離虚血例に対して急性期STA-MCA bypassを行い, 急性期の症状増悪を抑制できた.