脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
症例報告
刺創10年後に繰り返す脳梗塞で発症した外傷性椎骨動脈仮性動脈瘤の1例
川出 智大春原 匡田中 優也西井 陸大山元 康弘岩﨑 朗奈㮈本 悠嗣中嶋 広太寺西 邦匡重安 将志呉 浩一高野 裕樹福井 伸行福光 龍後藤 正憲小柳 正臣坂井 信幸太田 剛史
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 32 巻 12 号 p. 835-840

詳細
抄録

 頭頚部外傷に伴う椎骨動脈損傷, 特に銃創や刺傷などの鋭的椎骨動脈損傷は全外傷の1%未満とまれな疾患で, 大量出血や気道狭窄など重篤な経緯をたどることが多い. 今回, 繰り返す虚血性脳卒中の精査で外傷性椎骨動脈仮性動脈瘤が判明した症例を報告する. 10年前に左頚部, 胸部にナイフでの刺傷歴のある30歳男性. ふらつき, 不穏を主訴に救急外来を受診した. 頭部MRIで後方循環支配領域に時相の混在する多発性脳梗塞を認めた. CTAで刺創痕に一致した高位の左椎骨動脈に58mmの部分血栓化仮性動脈瘤を認めた. 対側椎骨動脈が発達しており, 母血管閉塞術 (PAO) を行う方針とした. 比較的長いsegmentをできるだけ密に塞栓するため, 脳動脈瘤用のコイルのみならず, 血管塞栓用デバイスも使用した. その後脳梗塞の再発を認めず良好な転帰を得た.

著者関連情報
© 2023 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事
feedback
Top