2023 年 32 巻 4 号 p. 246-253
Extraventricular neurocytoma (EVN) はまれな中枢神経原発腫瘍の1つである. 本症例は27歳女性でトルコ鞍部に発生し, 月経不順で発症した. 下垂体腺腫が疑われ, 内視鏡下経蝶形骨洞手術 (eTSS) にて部分摘出が行われた. 病理検査では乏突起膠腫に類似した蜂の巣構造がみられ, synaptophysinとNeuNが陽性であり, EVNと診断された. トルコ鞍部に発生したEVNは下垂体腺腫や頭蓋咽頭腫との鑑別が画像上困難であり, 診断には病理検査が決定的となる. EVNは非常にまれな腫瘍であるがさまざまな部位に発生し得るため, 神経細胞系の腫瘍が疑われた場合はEVNの可能性を検討する必要がある.