脳神経外科ジャーナル
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症例報告
早期に診断, 治療介入に至った肉芽腫性アメーバ性脳炎の1例
福家 共乃小川 智也新堂 敦荒木 みどり石川 雅士八木田 健司久枝 一香川 昌弘
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2023 年 32 巻 4 号 p. 261-267

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抄録

 肉芽腫性アメーバ性脳炎 (granulomatous amoebic encephalitis : GAE) を早期に疑い, 治療介入に至った症例を報告する. 症例は43歳の男性. 左上下肢の脱力で前医に救急搬送された. MRIで一部広範な脳浮腫を伴う両側大脳半球の多発病変を認め, 紹介となった. 開頭生検術を施行し, Periodic acid-Schiff staining (PAS染色) でアメーバ性脳炎が疑われ, 術後早期から薬物療法を開始した. 薬物療法抵抗性の増大病変を再摘出後は, すべての病変の制御が可能となった. 国立感染症研究所でBalamuthia mandrillaris, もしくは他の自由生活アメーバによるGAEと診断された. アメーバ性脳炎の致死率は高いが, 内服と外科的治療の併用で生存できた報告があり, 早期診断が重要である.

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© 2023 日本脳神経外科コングレス
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