2023 年 32 巻 8 号 p. 498-505
後頭蓋窩手術の多くは小脳橋角部病変に対して行われる. 小脳橋角部は多数の脳神経と動静脈が錯綜しており, 複雑な外科解剖を呈している. 小脳橋角部の “3のルール” をはじめとして, 手術時に犠牲にしてはいけないもの, 切断することもやむを得ない血管などを知っておく必要がある. 手術の際には各脳神経機能を温存することが求められ, 各種術中モニタリングと神経・血管に対する愛護的な手術操作が必要となる. 本稿では, 手術解剖を踏まえた小脳橋角部病変に対する手術における留意点につき解説した.