2023 年 32 巻 8 号 p. 506-512
脳血管内手術に必要な微小解剖は, 顕微鏡下に観察する微小解剖とは視点が異なる. 具体的には開頭手術では, そのアプローチルートの選択と局所における微小解剖構造に関する知識が脳の圧排や重要組織を保護するうえで重要であるのに対し, 脳血管内手術においては, 閉塞してもよいかどうか, また塞栓物質を注入しても脳梗塞や脳神経の障害を起こさないかどうかが重要となる. そのためには脳血管撮像から内頚動脈 (ICA) や外頚動脈 (ECA) 間に潜在的に存在する吻合を同定し, 脳血管撮像上は描出されていなくてもそこに潜在的な吻合や重要穿通枝が存在する可能性を機能解剖学の知識により予測・察知する必要がある.