2024 年 33 巻 10 号 p. 664-673
覚醒下手術が保険収載されて10年が経過した. その温存対象機能は, 当初の運動, 感覚, 言語から, 今や視覚や高次脳機能へと拡大し発展を続けている. ただし, 高次脳機能モニタリングにはまだ改善の余地がある. 高次脳機能は複雑に協同しており, 単一の術中タスクで1種類の高次脳機能がモニタリングできているとは言い難い. 適切なタスク開発が必要である. また, 高次脳機能は, 脳の可塑性に基づく回復がしばしば認められ, モニタリング陽性反応部位の摘出が恒久的な機能障害をきたすとは限らない. 脳機能ネットワークや脳の可塑性に関する脳科学の進歩が, 本手術の考え方に大きく影響を与えるであろう. 脳神経外科医がその一翼を担う存在であると考える.