2024 年 33 巻 5 号 p. 339-345
代表的な小児脳腫瘍である髄芽腫については, 遺伝子発現の差異などをもとにした分子分類が発達している. 最新のWHO分類では, 髄芽腫の診断として病理学的分類ではなく分子分類のみが採用され, WNT群, SHH群, Group3, Group4の4群に分類される. 分子分類が重要視されているのは, 予後をよく反映しているためである. 髄芽腫の治療は, 年齢, 残存病変や転移・播種病変の有無による臨床的なリスク分類に基づいて治療が行われてきた. これに分子分類の情報を加えることで, よりよい治療方法の選択と予後改善が期待される. われわれ脳神経外科医には, 髄芽腫の治療動向を把握し, 長期生存を見据えた手術を提供する責務がある.