脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
分子組織化学的手技に基づく下垂体腺腫の分類(<特集>下垂体)
山王 なほ子長村 義之
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 6 巻 3 号 p. 155-162

詳細
抄録

近年,分子生物学的手法の進歩により,下垂体細胞の機能(ホルモン産生)に関する情報は,個々の細胞レベルにおける遺伝子発現まで明らかにされてきている.それに伴い,下垂体腺腫の分類も臨床情報に加えて詳細な機能情報に対応し得る分類が望まれると思われる.本稿では分子病理学的手法を紹介するとともに,下垂体細胞の機能分化に関与すると考えられる転写因子,核内受容体に関する最近の知見について論述する.さらにこれらの新しい情報を踏まえ,臨床・機能・形態学的知見を盛り込んだ下垂体腺腫の新分類を提示する.この臨床細胞機能分類は2分類より構成され,大分類は臨床的表現を基本にし,機能により7項目に分類し,亜分類として,(1)臨床症状,(2)画像・手術所見,(3)ホルモン産生(免疫組織化学,in situ hybridizationにより検出される),(4)電顕所見を付記する形とした.

著者関連情報
© 1997 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top