脳神経外科ジャーナル
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脳腫瘍と遺伝子治療
吉田 純
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1999 年 8 巻 1 号 p. 13-18

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抄録
脳腫瘍に対する遺伝子治療は, 1992年米国においてOldfieldらにより開始された.本法は自殺遺伝子である単純ヘルペスウィルスのチミジンキナーゼ遺伝子をレトロウィルスペクターを介し, 腫瘍組織内に導入発現させ, プロドラッグであるガンシクロビルを静注し, 毒素に変換し, 腫瘍細胞を選択的に死滅させる方法である.昨年本治療法による治療成績がNature Medicineに発表され, その安全性と有効性が報告された.しかしその有効症例はすべて6m/以下の小さな腫瘍に限られており, その原因は遺伝子導入効率の低さと腫瘍組織内でのベクターの広がりの悪さのためと考えられている.本稿ではその後の展開とベクターの改良, ならびに免疫遺伝子治療の有効性などについて概説する.
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© 1999 日本脳神経外科コングレス

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