脳神経外科ジャーナル
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高血圧性小脳出血の手術適応と機能予後 : 多変量解析による検討
熊坂 明下田 雅美小田 真理津金 隆一山口 壮佐藤 修松島 一士篠原 幸人
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1999 年 8 巻 1 号 p. 33-40

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抄録
高血圧性小脳出血81例を保存的治療群(50例)と後頭下開頭血腫除去術群(31例)の2群に分け, おのおのの予後良好因子を多変量解析により検討した.その結果, 保存的治療群ではGCS14-15, 血腫最大径4cm以下, 四丘体槽開存の3項目が予後良好因子として示され, 開頭血腫除去術群では, GCS11-15, 四丘体槽開存, 血腫最大径5cm未満, 側脳室内出血なしの4項目が統計上有意とされた.これらの結果より, 高血圧性小脳出血においてmoderate disability以上の機能予後を求めた開頭術の適応は, かなりの部分で保存的治療の適応範囲と重複しており, 手術の適応域は狭く, 従来のややもすると安易に意識状態や血腫の大きさのみから行っていた手術適応の決定は避けるべきと思われた.本検討より, 良好な機能予後を期待できる手術適応は血腫径として5cm以下, 意識状態としてGCS11-13という結果であった.また, これらのみで治療方針を決定するのではなく, 保存的治療中にCT所見上, 脳幹周囲脳槽の血腫が脳幹部に影響しつつある, あるいは水頭症が発現しつつあると判断された症例についてはただちに手術的治療に変換すべきと考えられた.
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© 1999 日本脳神経外科コングレス

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