抄録
zonisamide(ZNS)の開頭術後てんかんに対する抑制効果を, phenobarbital(PB)を対照薬として多施設共同二重盲検群間比較試験により, 3年間の試験期間(投薬期間1年, 追跡観察期間2年)で検討した.全国41施設から278症例を収集し, うち255例を解析対象とした.投薬期間中のてんかん発作出現率はZNS群5.4%, PB群6.3%であり, 両群間に有意差はなかった.追跡観察期間中におけるZNS群の発作出現率7.1%はPB群の12.1%に比べて低率であり, 部分発作(単純および複雑)の出現率はZNS群0%(0/112)であるのに対して, PB群5.6%(6/107)と有意差を認めた(Fisher直接確率, p=0.013), 副作用の出現率はZNS群とPB群との間に有意差はなかった.以上の試験成績と文献的考察により, ZNSにはてんかん焦点形成に対する抑制効果, すなわち真の術後てんかんの予防的効果があるのではないかと考察した.ZNSはepileptogenesisの抑制効果に加えて, 早期痙攣の予防の観点, 脳保護作用を有すること, および細胞免疫性の抑制がないことなどから, 脳神経外科術後の抗てんかん薬として積極的に使用されるべき薬剤と結論した.