脳神経外科ジャーナル
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後頭蓋窩類表皮腫の進展範囲と手術アプローチ
久場 博司松島 俊夫松角 宏一郎名取 良弘稲村 孝紀福井 仁士
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2000 年 9 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

小脳橋角部類表皮腫はテント切痕, 大後頭孔への上下方向のみならず, 小脳半球, 脳幹側への横方向へも進展し, この進展様式はアプローチを決定する際の重要な要素となる.今回, 小脳脳幹裂の解剖に基づき, 上下方向のみならず, 横方向への進展も考慮に入れて, 後頭蓋窩類表皮腫22例を腫瘍の局在部位, 進展様式により分類し, それぞれに対するアプローチについて検討した.小脳橋角部に主座をおく群に対しては, 中頭蓋窩に進展した例を除く全例に, 通常のlateral suboccipital approachか, それにinfratentorial supracerebellar approachを追加して手術を行い, 小脳橋角部に限局した群においては14例中13例において亜全摘出が可能であったが, 小脳脳幹裂への進展例においては全例とも部分摘出に終わった.小脳橋角部類表皮腫の大半は通常のlateral suboccipital approachで十分摘出可能であるが, 腫瘍が小脳脳幹裂へ進展している場合には, 小脳半球に隠れた腫瘍をうまく露出するようなfar lateral approachやposterior transpetrosal approachが必要となる場合がある.後頭蓋窩の類表皮腫に対する手術アプローチに関しては, 腫瘍の局在部位, 進展様式に応じて総合的にアプローチを決定することが必要である.

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© 2000 日本脳神経外科コングレス
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