抄録
多発性転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ(GK)治療の有効性を検討した.1)初診時, 10個以下の多発性病変, 2)摘出不可能な3cm以上の腫瘍がない, 3)癌性髄膜炎がない, 4)2カ月以上の生命予後が見込める, 連続95例を, GK群(51例)と非GK群(44例)の2群に分けて検討した.GK群では, 初回治療時3cm以上の腫瘍は摘出し, 3cm未満の腫瘍はGK治療を行った.予防的全脳照射を施行せず, 経過中出現した新病巣はGK治療を行った.非GK群では手術, 分割外照射, 化学療法などの集学的治療を行った.生存期間, 神経死までの期間, 有意義なQOLが維持できる期間はGK群が非GK群に比べ有意に長かった.多変量解析では頭蓋外病巣非制御, 非GK群, 初診時Karnofsky performance scale score70未満の3因子が有意な生命予後不良因子であった.非小細胞肺癌の多発性脳転移に対し, 転移数が10個以内であれば, 初回手術療法とGK治療を組み合わせ, 予防的全脳照射を施行せず, 新病巣出現時にはGKによるsalvage治療を繰り返して行うことの妥当性が示された.