脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
回転皮弁を用いて治療した先天性頭皮動静脈奇形の1例
藤田 敦史朝田 雅博齋藤 実中村 秀美花垣 博史伴 政雄玉木 紀彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2000 年 9 巻 2 号 p. 86-91

詳細
抄録
先天性頭皮動静脈奇形の1例を経験し, 手術切除で生じる皮膚欠損部を回転皮弁を用いて再建した.症例は14歳, 男児で右頭頂部に浅側頭動脈, 後耳介動脈, 後頭動脈を栄養動脈とする頭皮動静脈奇形を認め, 浅側頭静脈, 頭皮静脈に導出していた.手術では動静脈奇形の存在する部分を皮膚を含めて切除し, 生じた皮膚欠損部は回転皮弁を用いて再建した.術後, 創部に壊死, 瘢痕性禿髪症を生じることなく退院した.頭皮動静脈奇形は不完全な切除では再発を認めるため, 完全切除が必要とされる.しかし, 真皮に存在する動静脈奇形の全摘出を行うことで起こり得る術後合併症として皮膚の脆弱化, 壊死, 瘢痕性禿髪症などが報告されている.これらに対して二次的に植皮を必要とすることがあり, 治療に際して術後の美容学的な側面も軽視できない.回転皮弁は皮膚欠損部の再建方法として形成外科領域では一般的である.われわれは頭皮動静脈奇形をそれを覆う皮膚を含めて切除し, 切除で生じた皮膚欠損部に回転皮弁を用いることで, 頭皮動静脈奇形の完全切除と皮膚欠損部の再建を同時に行い得た.
著者関連情報
© 2000 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top