抄録
症例は32歳の女性で, 脳動静脈奇形に合併する右内頸動脈-眼動脈分岐部の未破裂動脈瘤に対して瘤内塞栓術を施行した.塞栓術後2日目に突然の視力視野障害をきたし, 網膜動脈分枝閉塞症と診断された.通常, 眼動脈には外頸動脈との豊富な吻合が存在するため, 内頸動脈-眼動脈分岐部動脈瘤の治療の際に眼動脈を閉塞しても視力障害をきたすことは稀といわれているが, 閉塞した眼動脈が再開通して微小血栓が網膜中心動脈の分枝を閉塞したと考えた.内頸動脈-眼動脈分岐部動脈瘤の治療の際, このような合併症が起こり得ることを念頭におき, 術後の抗凝固療法は必須と考えられた.