脳神経外科ジャーナル
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後頭蓋窩血栓化動脈瘤に対する複合治療 : Ligation and embolization method
卯田 健井上 享勝田 俊郎安森 弘太郎
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2000 年 9 巻 8 号 p. 556-560

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抄録
症例は49歳, 男性で, 右眼痛で発症した約2cm大の血栓化した未破裂右脳底動脈上小脳動脈分岐部動脈瘤の患者である.神経学的に右眼痛と右動眼神経不全麻痺(瞳孔不同, 眼瞼下垂)を認めた.開頭術を行ったが, 合併症なしでクリッピングすることは不可能と判断し, 動脈瘤頸部を絹糸で結紮し動脈瘤頸部形成を行った後に, GDC(Guglielmi detachable coil)により瘤内塞栓術を施行し良好な結果を得た.後頭蓋窩の血栓化した大きな動脈瘤の治療はいまだ困難で, その成績は満足できるものではない.最近の新しい治療法であるGDCによる瘤内塞栓術もコイルの血栓内埋没をきたし, 血栓化巨大動脈瘤はその適応外となることが多い.本症例で施行したligation and embolization methodは, 通常の治療が困難な血栓化動脈瘤に対する手術および塞栓術の相補的な治療法として考慮されるべきものと思われた.
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© 2000 日本脳神経外科コングレス

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