2017 年 42 巻 1 号 p. 19-27
緒言:関節リウマチ(rheumatoid arthritis,以下RA)患者に対する骨粗鬆症(osteoporosis,以下OP)治療の現状を検討した.
方法:当院で治療しているRA患者459人中,OP治療中の患者(以下RA-OP)186人とOP治療を行っていない患者(以下RA-nOP)273人について検討した.
結果:RA-OP群はRA-nOP群に比べ,RA発症時の年齢が有意に高く,RAの発症から治療開始までの期間が有意に長く,関節変形が大きく,日常生活動作が制限されていた.骨代謝マーカーは,1型プロコラーゲン-N-プロペプチド(procollagen type 1 N-terminal propeptide, P1NP)では差は認められなかったが,酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ5b(tartrate-resistant acid phosphatase 5b, TRACP-5b)では,RA-OP群がRA-nOP群に比べ,OP治療前で有意に高く,治療後で有意に低かった.骨密度は,RA-OP群が有意に低い値を示した.また,RA-OP群では大関節が罹患している割合が高く,OP治療前に骨折している者の割合が高かった.RA治療薬では,RA-OP群の方が生物学的製剤と副腎皮質ステロイドが投与されている者の割合が,RA-nOP群に比べ有意に高かった.OP治療薬では,RA患者のOP治療にデノスマブが投与されている割合が,非RA患者のそれに比べて高かった.
考察:RA患者の骨代謝には,年齢,罹病期間,副腎皮質ステロイド投与などの要因が強く影響していると考えられる.
結論:RA患者のOP治療には,非RA患者とは違ったアプローチが必要である.