2017 年 42 巻 1 号 p. 1-11
緒言:全国ストップ・ザ・ロコモ協議会は,運動器症候群(locomotive syndrome,以下ロコモ)を啓発し介護予防を支援するロコモコーディネーター制度を発足させた.そこで,予防通所リハビリテーション施設での運動器機能向上介入(以下ロコモ予防)の効果を検討するため,要介護認定を受けた者の介護度の変化を調査した.
方法:藤野整形外科予防通所リハビリテーション施設において介護度を追跡できた162人を対象とし(ロコモ予防群),コントロール群には厚生労働省介護予防継続的評価分析等検討会のデータを用い,ロコモ予防群とコントロール群の経年的な介護度の変化を比較した.
結果:コントロール群の38.9%が1年後に悪化したのに対し,ロコモ予防群の悪化率は24.5%と有意に低く(p<0.01),ロコモ予防が介護度の進行を抑制する効果は,5年後まで持続していた.
考察:ロコモ予防群では介護度の進行が抑えられ,それにより年間約300億円の介護費用を節減することができると推測される.
結論:ロコモ予防は介護度の進行を抑えて介護費用の削減に寄与し,介護予防を支援するロコモコーディネーター制度は有用である.