2018 年 43 巻 2 号 p. 71-80
目的:下肢の過剰使用が原因と思われる下肢痛に対する腸腰筋のストレッチングであるパピーポジションと腹筋運動の組み合わせ体操(以下本治療体操)の有効性を証明する.
対象と方法:対象は,下肢痛を主訴とした20歳以下の青少年例39例,21歳以上の成人例38例である.治療は本治療体操のみを行った.本治療体操前後の症状改善度をvisual analogue scale(以下VAS,100mm線分法)で評価した.
結果:VASは,青少年例では本治療体操前73±21mmが本治療体操直後には27±21mmに,成人例では83±13mmが23±22mmに,ともに有意に改善した.
考察:腸腰筋の機能を改善する本治療体操が過剰使用による下肢痛を改善したことから,腸腰筋の疲労が下肢痛を引き起こしていると考えられる.
結論:過剰使用による下肢痛の原因には腸腰筋疲労があり,この下肢痛に本治療体操は有効である.