日本臨床整形外科学会雑誌
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頻回の手術を要した上腕骨近位端骨折の1例
大谷 和裕西地 晴彦西村 俊司赤木 將男
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2020 年 45 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

(緒言)治療に難渋した上腕骨近位端骨折の1例を経験したので報告する.

(症例)74歳男性.アルコール性肝硬変,慢性膵炎,糖尿病,認知症を合併.上腕骨近位端骨折に対しロッキングプレート固定術を行った.術後,再度転倒しプレートの逸脱と再骨折を生じたため髄内釘を用いて骨接合術を施行した.しかし,髄内釘の上腕骨頭からの逸脱を生じたため人工骨頭置換術を施行した.その後,回復期病院に転院し理学療法を継続した.肩関節の挙上制限はあるもののADL上支障がない.

(考察)上腕骨近位端骨折は骨脆弱性骨折の1つと考えられている.骨折部の転位を認める症例では内固定術が適応となる.ロッキングプレートや髄内釘を用いた内固定術が一般的であるが,固定力不足や骨質不良なため術後に転位を生じることがある.

(結語)高齢者の骨折に対する骨接合術ではインプラントの固定力を過信せず症例に応じて外固定期間や安静度を調整する必要がある.

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