日本臨床整形外科学会雑誌
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手術所見からみた上腕骨外側上顆炎の病態
麻生 邦一
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2021 年 46 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

諸言:難治性上腕骨外側上顆炎の病態について関節内病変とする報告が多いが,手術所見から難治性の病態を追求したので報告する.

方法:6か月以上保存的治療に抵抗する難治性上腕骨外側上顆炎21例,23肘に対して,Nirschl変法を行い,手術時の所見より難治性症例の病態と臨床成績を調べた.

結果:そのうち8肘(35%)には腱断裂もしくは腱部分欠損をみとめた.一方,関節内所見として滑膜ヒダの異常:1肘,関節軟骨の異常:2肘,輪状靭帯の緊張:8肘のみであり,これらが病態に関与することは少ないと考えられた.臨床成績は,JOA-JES scoreでは,術前24.8点が平均95.8点と著明に改善され,Nirschl's grading systemではexcellentが78%を占め,Nirschl変法で優れた成績が得られることが分かった.

考察:上腕骨外側上顆炎はECRB腱性の関節外病変と滑膜ヒダ,輪状靭帯などの関節内病変の2つの型を有する肘関節外側疼痛症候群と考える.

結語:難治性の病態は,多くは関節外のECRB腱起始部での腱性のものである.

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