2022 年 47 巻 1 号 p. 29-38
目的:人口約138万人の愛媛県における,骨粗鬆症性大腿骨近位部初回骨折後の,反対側大腿骨近位部骨折の発生頻度を,多施設前向き疫学研究にて調査した.
方法:2016年4月1日から2017年3月31日までに,骨粗鬆症性大腿骨近位部初回骨折に対する手術を受けた人を対象とし,3年間追跡調査を行った.60の医療機関が参加し,県内で行われた大腿骨近位部骨折手術症例の大部分を網羅している.
結果:1年間で1198人が登録され,3年の最終調査を完了したのは1085人であった.1085人のうち,5.0%に当たる54人に術後3年以内に大腿骨近位部骨折後の反対側骨折(再骨折)が発生した.80歳以上が再骨折例の91%を占めており,初回骨折から1年未満の発生が44%だった.
考察:骨粗鬆症性大腿骨近位部骨折手術を受けた患者の約5%に,3年以内に再骨折(反対側の大腿骨近位部骨折)が生じていた.特に80歳以上の高齢者に多く,初回骨折から1年以内が再骨折のリスクが高かった.