2015 年 28 巻 2 号 p. 129-140
本研究は,バスケットボールの個人的攻撃局面における状況判断について,状況判断能力テストの結果を探索的因子分析によって包括的な要因を検討し,さらに,抽出された状況判断能力因子の構造から共分散構造分析を用いて状況判断能力の習得の順次性について仮説的構造モデルを作成して検証した.
標本は,大学のバスケットボール部に所属する158名であり,全テスト67問をプレイの特徴から23項目にまとめそれらのテスト結果を観測変数としてAMOSによる共分散構造分析を行った.
個人的な攻撃の局面における状況判断能力の8つの因子は,個人的な攻撃の局面におけるそれぞれの特徴から3つの2次因子にまとめ,仮説的概念モデルとして「並列型3次因子モデル」,「順列型モデル」などの4つを表した.それらに抽出された因子を当てはめて分析したところ,「並列型3次因子モデル」が最も当てはまりの度合いが高かった.
「並列型3次因子モデル」は,2次因子にはそれぞれ独立した判断基準が存在する可能性が示唆されたものと考えられ,プレイや戦術の理解とともに状況判断力の向上のためには各状況における指導の必要性が認められた.