認知心理学研究
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日本版成人メタ記憶尺度(日本版MIA)の構造と短縮版の開発
金城 光井出 訓石原 治
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2013 年 11 巻 1 号 p. 31-41

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抄録

The Metamemory in Adulthood(以下MIAとする) 尺度 (Dixon & Hultsch,1983; Dixon,et al.,1988)は,高齢者を含む一般成人が自分の記憶をどのように理解しているか,一般成人のメタ記憶を多面的に測定する尺度として,欧米を中心にさまざまな国や言語で尺度の信頼性や妥当性が検証されている,最も利用頻度の高いメタ記憶尺度の一つである.本研究では日本語版のMIAの作成,および,短縮版MIAの作成を目的とした.まずMIAの全108項目の日本語訳出において明らかになった問題点(金城他,2008)を改善し,原版開発者の許可を得て新たな尺度を若者240名(平均年齢20.6歳)と高齢者268名(平均年齢70.2歳),計508名を対象に実施した.因子分析の結果,データ全体,および,若者と高齢者に共通して適合する下位尺度としては,原版MIAの達成因子を除く6因子(不安,能力,変化,支配,方略,課題)構造となることが確認された.また,訳の改定にもかかわらず別の因子に負荷する項目や寄与率が低い項目,多重負荷項目があり,原版の質問項目すべてをそのまま日本人に適用するのは妥当でないことがわかった.そこで,これらの項目を除いた44項目で短縮版を作成したところ,累積寄与率,および,各下位尺度のCronbachのα係数の値が向上し,かつ,年齢群別,性別ごとに分析しても安定的な6因子構造が確認された.

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© 2013 日本認知心理学会
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