2017 年 15 巻 1 号 p. 1-12
近年,アニメーションはクールジャパン政策における海外に発信する日本のコンテンツの一つとなり,注目が集まっている.本研究は文章理解過程モデルの一つであるイベントインデックスモデルを援用し,アニメーション理解過程に影響する要因を検討した.また,アニメーションを二つのジャンルに分け,ジャンルによって理解過程に影響する要因が異なるかどうかも検討した.理解過程に影響する要因として,イベントインデックスモデルで提案されている五つの状況的次元とBGMの開始,BGMの終了を採用した.実験では,ショットごとの反応時間を測って従属変数とし,重回帰分析を行った.その結果,アニメのジャンルによって理解過程に影響する状況的次元が異なることが明らかとなった.一方,両ジャンル共にBGMの終了が理解過程に影響することが示された.アニメーションにおいてBGMは状況モデルの更新を促進させている可能性が考えられる.本研究の結果は,視聴者の理解に配慮したアニメーション制作を可能にするだろう.