認知心理学研究
Online ISSN : 2185-0321
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ISSN-L : 1348-7264
15 巻, 1 号
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原著
  • 梶井 直親
    2017 年 15 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    近年,アニメーションはクールジャパン政策における海外に発信する日本のコンテンツの一つとなり,注目が集まっている.本研究は文章理解過程モデルの一つであるイベントインデックスモデルを援用し,アニメーション理解過程に影響する要因を検討した.また,アニメーションを二つのジャンルに分け,ジャンルによって理解過程に影響する要因が異なるかどうかも検討した.理解過程に影響する要因として,イベントインデックスモデルで提案されている五つの状況的次元とBGMの開始,BGMの終了を採用した.実験では,ショットごとの反応時間を測って従属変数とし,重回帰分析を行った.その結果,アニメのジャンルによって理解過程に影響する状況的次元が異なることが明らかとなった.一方,両ジャンル共にBGMの終了が理解過程に影響することが示された.アニメーションにおいてBGMは状況モデルの更新を促進させている可能性が考えられる.本研究の結果は,視聴者の理解に配慮したアニメーション制作を可能にするだろう.

  • 河村 康佑, 若林 明雄
    2017 年 15 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2017/08/31
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    われわれは日常生活において,痛みを感じている他者を観察すると,痛みの理解や不快感の喚起が生じる.こうした「痛みの共感」に関する先行研究では,他者の痛み場面を示す表象として痛み事象と痛み表情の両方が用いられてきた.本研究の目的は,痛み事象と痛み表情が,他者の痛み場面において,他者の痛み理解と自身の不快感喚起にそれぞれどの程度影響を与えているのか明らかにすることであった.本研究では,痛み場面とは痛み事象と痛み表情から構成されるものとした.実験参加者は,痛み事象と表情が同画面内に映るように撮影した動画刺激に対し,推定されるターゲットの痛みと自分自身の不快感を0~10で評定した.実験の結果,不快評定においては,痛み事象の影響が痛み表情の影響よりも大きいことが示唆された.一方で,ターゲットの痛み推定では,痛み事象と痛み表情の影響に違いはなかった.このことから,他者の痛み場面における不快感喚起には,痛み事象が主として寄与していることが示唆された.

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