認知心理学研究
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原著
再認の背景色文脈効果におよぼす手がかり過負荷の影響
漁田 武雄漁田 俊子岡本 香
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2005 年 3 巻 1 号 p. 45-54

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抄録

本研究は,3つの実験を通して,学習時と同じ背景色文脈下で再認をテストする条件が,学習時に提示されなかった文脈下でテストする条件よりも,良い単語再認成績を示すか否かを調べた.本研究の被験者は,総数120名の大学生であった.さらに本研究は,項目強度の規定因のひとつである提示速度の効果と背景色文脈効果の間に交互作用が生じるか否かも調べた.各被験者は,40個の単語(実験1),あるいは36個の単語(実験2と3)を学習した.各単語は1.5秒/語あるいは3.0秒/語の提示速度で提示した.さらに,各単語は2種類の背景色文脈(実験1),あるいは6種類の背景色文脈(実験2と3)のいずれかのもとで提示した.再認テストでは,学習した単語(ターゲット)と同数のディストラクターを混ぜ合わせた.実験1と2は学習セッションの直後にテストし,実験3は5分間の遅延期間後にテストした.実験1では,再認の背景色文脈効果を見いだせなかったが,実験2と3では有意な文脈効果を見いだした.文脈効果と提示速度効果の交互作用は有意でなかった.最後に,本研究結果の意義について考察した.

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© 2005 日本認知心理学会
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